絵本作家の兄・白夜と暮らす主人公。
　十年前、ある出来事がきっかけで「家族」になった白夜は、少し過保護で心配性。
　盲目的に主人公を溺愛する。
　──それは時に恋人のように甘く、優しく。
「君が望んでくれるなら、僕はいつでも、兄じゃなくて君の恋人になってあげられる」と囁く。
　蒼き天から落とされても尚、天使の力を行使できる白夜。主人公の深層心理と願望を解析し、とある魔術師から引き継いだ「対象の夢に干渉する事が出来る本」──夢現の魔導書(むげんのグリモワール)を開く。
　ヒロインの理想を叶える為に、白夜は今夜も白紙のページに物語を紡いでいくが……。
 


◇登場人物◇

【現実世界】

白夜　(びゃくや)　29歳　　身長:190cm　　容姿:銀髪・紫の瞳・眼鏡

・主人公と出会った事で「家族＆保護者」になる事を決意。絵本作家。
　主人公を溺愛しており、望む夢を体験できるように代行者として魔導書を使用。
　行動理念は、「主人公が幸せになること・主人公の願いを叶えること・明日を望んでくれるように最善を尽くすこと」と一切の歪みがない偽兄(ぎけい)。
　唯一の家族である貴方に甘く、貴方にとって害悪となる存在に対しては容赦ない。

　「嘘」に対して非常に強い嫌悪感を抱く。
　周囲からは「面倒見のよい、過保護な兄」という印象を持たれている絵本作家。ヒロインとの仲は非常に良好といっていい。
　自分の感情にとても疎く、無自覚に嫉妬していることさえ気づかない鈍感さを持つ。
　「素体」を利用して受肉し、人間に擬態しているものの、合理的な思考を持つ為、人間を完全には理解出来ていないという重大な欠点がある。
　西村の登場を機に、白夜の暴走が始まる。


　◇主人公
　・ややブラックな会社に勤めているOL。
　10年前のある夜、自宅近くの海辺で世界を放浪していた白夜と出逢い「家族」となる。
　夢現の魔導書の所持者ではあるが、手にした当時は幼く、使い方もよく理解出来ていなかった為、本を白夜に預けている。しかし、今では仕事に忙殺される日々を送っている為、魔導書の件はすっかり忘れてしまっている。
　兄が自分を甘やかしすぎるのと自分が見ている夢の影響を兄も受けているのでは?　と不安に駆られ、家を出て行くと口にするが……。
　尚、かつて本物だった家族は10年前から全員行方不明となっている。


　◇西村
・主人公の会社に最近転職してきた青年。主人公の学生時代、美術部の先輩であり初恋の相手。
　行方不明になっている主人公の「本物の家族」を知っている人物。


【主人公が見る夢の世界】

　カノン
・白夜と瓜二つの青年。学生時代は婚約者であったが、主人公が卒業後に正式に結婚。現在は夫。
　主人公が卒業するまでの間に自国内での王位継承戦争に勝利し、王座に就く。
　無属性魔法であるエナジードレインと誓約・刻印付与が使えるが、本人は魔法よりも銃火器や剣での戦闘を好む。
　

　主人公
・小国の王家の第三王女。この世界で唯一「癒しの力」を持つ聖女でもある。
　同腹の兄と兄の友人であり自身の婚約者でもあるカノンが在籍する他国(中立国)の士官学校に入学する。
　士官学校を卒業後、すぐにカノンと結婚し、王妃となる。
　

　ヴェステンドルフ
・主人公の士官学校時代の先輩。施設の出身だが気さくで明るい性格。主人公が支援している児童養護施設や福祉施設で偶然再会する。施設で偶然会った時は、学生時代の頃を懐かしみお茶をしたりする。


【用語】

　魔導書(グリモワール)
・中世ヨーロッパ。とある国の深い森に住む魔法使いが人生の終幕を迎える前に、自身の膨大な魔力を5冊の魔導書に分割・封印したといわれる。
　蒼穹から追放され、魔界へと堕とされる途中の白夜を本を託すのに最適な逸材と感じ、地上に繋ぎ止める。
　そして魔法使いから託されたのは、その内の1冊──真白の魔導書「夢現の魔導書(むげんのグリモワール)」
　本によってその性質は異なるが、その魔法使いは「魔導書の持ち主が幸せになれるように」という願いを込めた。
　
　「夢現の魔導書」は相手の夢に干渉できるが、白夜は自身が持つ「権能」を使い、魔導書の能力を拡張して使用している。

　エーテル
・大気中に漂うエネルギーの粒子。
　地上や戦闘で活動する天使や悪魔は大なり小なりこのエーテルを使い奇跡を起こしたり、魔法を行使したりする。

　龍脈
・大地の下に流れる魔力元素。龍脈内に流れる水を龍脈水と呼び、調整・加工・精製する前の龍脈水は危険。強力かつ膨大な量の魔力元素が含まれており、人体に有害とされる。

　龍脈石
・龍脈の力が自然に結晶化したもの。魔法が使えない人間でも、その石があれば魔法を行使することが出来る。